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1)建替え円滑化法適用事例

1.諏訪町住宅
2.第5レジデンス・サンシャイン
3.萩中住宅
4.桜新町グリーンハイツ
5.小笹東門クラブ(小笹団地50号棟・51号棟)

2)建替え円滑化法非適用事例
1.江戸川アパートメント
2.旭ヶ丘第二団地

 

1.諏訪町住宅

 計画概要

建替え前

建替え後

 

配置図等

 

名称

諏訪町住宅

アトラスレジデンス諏訪町住宅

 

敷地面積

3,965.07平方メートル

同左

 

総戸数/棟数

60戸/3棟

96戸/1棟

 

構造/階数

RC造/地上3階建て(2棟)・4階建て(1棟)

RC造/地上5階建て地下1階建て

 

延べ面積
/容積率

3,054平方メートル/77.02%

9,832.77平方メートル/174.46%

 

住戸型/面積

3K/44.09平方メートル

1DK〜4LDK/34.40〜102.64平方メートル

 

立地

東京都新宿区高田馬場一丁目 JR高田馬場駅から至近
第一種中高層住居専用地域〔一部商業地域〕(308.7%/60.58%)

事業概要

旧区分所有法の建替え決議(賛成53/区分所有者数54)
+マンション建替え円滑化法(組合施行)、平均還元率約100%
事業協力者(参加組合員):旭化成ホームズ(株) 
コンサルタント:東京都住宅供給公社
 ・ 54名の区分所有者のうち、45名が再建マンションの床を取得

事業経緯

昭和32年 都公社による分譲
平成2年頃 建替え検討組織を設置
平成13年7月 都公社とコンサルタント契約
平成14年5月 事業協力者の選定
平成15年5月 一括建替え決議
平成16年4月 本体工事着手
平成17年7月 竣工

特徴等

  • 分譲主である東京都住宅供給公社をコンサルタントとして選定
  • 事業協力者が女性担当者を配置し、高齢者に対して仮住居の紹介や現地同行を実施
  • 借家人に対しては基本的に家主が対応。(18人の借家人は権利変換計画認可前に退去)

実現の要因

1. 合意形成を促進する要素を備えていたこと(従前からの良好なコミュニティ等)
2. 検討の進行状況の情報公開及び共有・広報に努めたこと
3. 建替え委員会及びコンサルタント、事業協力者の3者のパートナーシップ
4. きめ細やかな高齢者への対応

 

2.第5レジデンス・サンシャイン

 

計画概要

建替え前

建替え後

 

配置図等

 

名称

第5レジデンス・サンシャイン

サンライズレジデンス

 

敷地面積

835.88平方メートル

同左(仮換地835平方メートル)

 

総戸数/棟数

43戸(含 事務所5戸)/1棟

47戸(含 事務所2戸)/1棟

 

構造/階数

SRC造/地上9階建て地下1階建て

SRC造/地上11階建て地下1階建て

 

延べ面積
/容積率

4,216.70平方メートル/401.75%
※容積率は容積対象床面積で計算

4,183.47平方メートル/423.31%
※同左

 

住戸型/面積

3DK・3K/85.68・64.80平方メートル

2DK〜4LDK/66.10平方メートル

 

立地

宮城県仙台市宮城野区鉄砲町 JR仙台駅東口から徒歩約5分
商業地域(400%〔一部500%〕/80%)

事業概要

区分所有法の建替え決議(賛成38/区分所有者数38)
+マンション建替え円滑化法(組合施行)、平均還元率約102%
参加組合員のいない組合施行方式 
コンサルタント:(株)アール・アイ・エー
38名の区分所有者のうち、全員が再建マンションの床を取得

事業経緯

昭和56年12月 分譲
昭和60年3月 土地区画整理事業都市計画決定
平成14年8月 市からのコンサルタント派遣
平成15年9月 建替え決議(全員賛成)
平成16年7月 本体工事着手
平成17年8月 竣工

特徴等

  • 仙台駅東第二土地区画整理事業区域内(市施行)。仮換地先が施行マンション敷地と一部重複する隣接地であり、仮移転なしでマンションを再建。
  • 市からのコンサルタント派遣(費用負担なし)
  • 土地区画整理事業の移転補償金と保留床処分金(4戸:ゼネコンを介してディベロッパーに一括処分)により、個人の資金調達を必要としなかった。
  • 土地区画整理事業の施行者である仙台市と借家人の間において、移転補償契約が締結されるため、18人の借家人との補償交渉は必要なかった。

実現の要因

1. 土地区画整理事業区域内における移転に伴う建替え事業であったこと(移転補償金と 保留床処分により自己資金の調達が必要なかった、市による借家権者への対応等
2. 初動期からコンサルタントを投入し合意形成を図ったこと
3. 区分所有法の改正による建替え決議要件が緩和されたこと(敷地の同一性要件等)
4. 権利変換手法により抵当権者の合意が得られやすかったこと

 

3.萩中住宅

 

計画概要

建替え前

建替え後

 

配置図等

 

名称

萩中住宅

オーベルグランディオ萩中

 

敷地面積

15,934.91平方メートル

同左

 

総戸数/棟数

368戸/8棟

534戸/2棟

 

構造/階数

RC造/地上5階建て

SRC造/地上18階建て地下1階建て

 

延べ面積
/容積率

18,558.91平方メートル/116%

48,818.28平方メートル/239.84%

 

住戸型/面積

3DK・3K/44.40平方メートル(148戸)
・47.95平方メートル(220戸)

2DK〜4LDK/44.82〜88.38平方メートル

 

立地

東京都大田区萩中1丁目 京浜急行空港線糀谷駅から徒歩約5分
第一種住居地域(200%/60%)

事業概要

区分所有法の建替え決議(法70条の一括建替え決議、賛成323/区分所有者数350)
+マンション建替え円滑化法(組合施行)、平均還元率約83%
事業協力者(参加組合員):有楽土地(株) 
コンサルタント:(株)シティコンサルタンツ
約370名の区分所有者のうち、約300名が再建マンションの床を取得

事業経緯

昭和43年 都公社による分譲(35年長期分譲)
平成6年5月 建替え準備委員会設立
平成13年1月 建替え推進決議
平成14年12月 建替え決議不成立
平成15年8月 建替え決議
平成16年6月 本体工事着手
平成18年3月 竣工

特徴等

  • 総合設計制度の適用による容積の割り増し
  • 一度建替え決議不成立の後、改正区分所有法に基づく法70条の団地一括決議を実施
  • 借家人に対しては基本的に家主が対応。(約100人の借家人は合意解約)

実現の要因

1. 合意形成を促進する要素を備えていたこと(自主管理の実績とリーダーの存在等)
2. 初動期からのコンサルタントの採用
3. 近年の法制度の充実(円滑化法の制定により住民を主体とした事業化が可能となったこと
(安心感の付与)、団地一括建替え決議の採用等)
4. 総合設計制度の利用により保留床を確保できたこと(事業条件の向上)
5. 建替え決議前に事業協力者が還元条件を約束したこと
6. 増床資金不要の小型住戸を確保できたこと
4.桜新町グリーンハイツ

計画概要

建替え前

建替え後

 

配置図等

名称

桜新町グリーンハイツ

グリーンピア桜新町グランピークス

 

敷地面積

797.98平方メートル

1,876.98平方メートル
(隣接地約1,080平方メートルを取り込み)

 

総戸数/棟数

24戸/1棟

57戸/1棟

 

構造/階数

RC造/地上4階建て

RC造/地上8階建て

 

延べ面積
/容積率

1,523平方メートル(推定)/191%(推定)

4,749.05平方メートル/約200%

 

住戸型/面積

2DK・3DK/38.46・61.95平方メートル

1LDK〜4LDK/40.05〜86.55平方メートル

 

立地

東京都世田谷区桜新町2丁目 東急田園都市線桜新町駅から徒歩約5分
準工業地域(200%/60%)

事業概要

区分所有法によらない全員合意(区分所有者26名)
+マンション建替え円滑化法(個人施行)、
平均還元率約80%、個人施行者:伊藤忠都市開発
26名の区分所有者のうち、18名が再建マンションの床を取得

事業経緯

昭和46年 建設
平成14年 隣地の所有権移転(伊藤忠都市開発へ)
平成15年2月 建替え協議の開始
平成15年9月 事業実施についての基本的な合意
平成15年12月 全員合意
平成16年4月 建築工事着工
平成17年3月 入居

特徴等

  • 既存不適格(日影規制・高度地区)のため、施行マンションの単独敷地では建替え前と同様の規模・形状の建物を再建築することが不可能。
  • 平成14年、隣地の相続に際して、伊藤忠都市開発に所有権が移転。伊藤忠都市開発からの呼びかけを契機として事業が起動。この隣地を隣接施行敷地として事業に取り込む。
  • 全員合意に基づく個人施行
  • 借家人に対しては基本的に家主が対応。(5人の借家人は事業認可申請時までに合意解約)

実現の要因

1. 個人施行者である伊藤忠都市開発が、民間デベロッパーとしての機動力を発揮し、合意形成を主体的・積極的に進めたこと
2. 隣地との共同事業により施行マンション権利者の負担が緩和されたこと(既存不適格マンションのため、この機会を逃せば、条件に恵まれた事業は不可能になるという危機感)
3. 立地に恵まれ、市場性が相対的に高かったこと
4. 権利変換手法により抵当権者の合意が得られやすかったこと

 

5.小笹東門クラブ(小笹団地50号棟・51号棟)

 

計画概要

建替え前

建替え後

 

配置図等

 

名称

小笹団地50号棟・51号棟
(管理組合名称:小笹東門クラブ)

コスモ南公園

 

敷地面積

2,462.63平方メートル

2,785.31平方メートル
(322.68平方メートルの隣接地買収)

 

総戸数/棟数

32戸/2棟(16戸×2棟)

50戸/1棟

 

構造/階数

RC造/地上4階建て

RC造/地上8階建て地下1階建て

 

延べ面積
/容積率

2,027.84平方メートル/82%

5,037.54平方メートル/149%

 

住戸型/面積

3DK/60.11平方メートル

3LDK〜4LDK/65.82〜94.92平方メートル

 

立地

福岡市中央区小笹 市中心地である天神地区からバスで約21分
第一種中高層住居専用地域・第二種中高層住居専用地域(150%/70%)

事業概要

区分所有法の建替え決議(賛成30/区分所有者数32)
+マンション建替え円滑化法(組合施行)
平均還元率約56% 事業協力者(参加組合員):(株)リクルートコスモス 
コンサルタント:(株)ラプロス
32名の区分所有者のうち、8名が再建マンションの床を取得

事業経緯

昭和44・45年 県公社による分譲
平成14年4月 総会において建替え検討開始決定
平成15年6月 建替え推進決議
平成16年6月 建替え決議
平成17年1月 解体工事着手
平成18年3月 竣工・再入居

特徴等

  • 福岡県住宅供給公社による小笹団地(55棟・約1,000戸)の一画にあり、当該団地のみ分譲マンション。売主の公社から隣接地約323平方メートルを購入し、敷地を拡大。
  • 借家人に対しては基本的に家主が対応。決議後も8人の借家人のうちの数名は退去拒否をしていたが、理事長も含めての協議により合意解約。

実現の要因

1. 合意形成を促進する要素を備えていたこと(リーダーの存在、建設委員会メンバーに建築技術者数名が存在、従前からの良好なコミュニティ等)
2. コンサルタントと組合員の信頼関係構築
3. 余剰容積を活用できたこと、及び北側の隣接地を適切な価格で購入したこと(北東側市道とつながり日影規制上有利なため購入)
4. 近年の法制度の充実化(建替え決議非賛成者に催告後、説得し参加を取り付けることができたこと(円滑化法の制度の活用)、公庫の高齢者向け返済特例制度の活用)
5. 仮住居先に福岡県住宅供給公社からの協力を得られたこと
6. マンション建替え事業経験のある参加組合員の協力

 

 

1.江戸川アパートメント

計画概要

建替え前

建替え後

 

配置図等

 

 

名称

江戸川アパートメント

アトラス江戸川アパート

 

敷地面積

約6,800平方メートル

約6,800平方メートル

 

総戸数
/棟数

258戸/2棟

232戸/3棟

 

構造/階数

RC造/地上4階・地上6階地下1階建て

SRC造/地上11階建て地下1階建て

 

延べ面積/容積率

約11,400平方メートル/約168%

約20,200平方メートル/約295%

 

住戸型
/面積

1R〜4K/9.22〜99.80平方メートル

1R〜4LDK/22.30〜121.20平方メートル

 

立地

東京都新宿区小川町  JR飯田橋駅から徒歩10分  第二種住居地域(300%/60%)

事業概要

区分所有法の建替え決議(賛成223/議決権数258)
+等価交換事業 平均還元率約53%
事業協力者:旭化成ホームズ(株)

  • 非賛成者31名のうち、22名が催告に応じ、残る9名に対しては売渡しに応じないため、建物明渡し請求訴訟を提訴
  • 213名の区分所有者のうち、119名が再建マンションの床を取得

事業経緯

昭和9年 同潤会による建設
(1970年代から建替え検討開始)
平成13年5月 事業協力者の選定
平成14年3月 建替え決議
平成14年12月 「建物明渡し請求訴訟」提訴
平成15年7月 解体工事着工
平成17年5月 再入居

特徴等

  • 30年以上前から建替えの検討が続けられていたため、修繕は対症療法的なものにとどまっていた。不同沈下や外壁の剥落、漏水や赤水、ガス漏れなど物理的劣化が著しかった。
  • 事業協力者による精力的な合意形成活動(例:約200名の区分所有者と全3回一時間面談)
  • 建替え不参加者への「建物明渡し請求訴訟」と平行した等価交換事業
  • 建替え決議が14年3月で円滑化法施行前だったため、円滑化法を活用していない。
  • 借家人に対しては基本的に家主が対応。対応の難しい借家人には事業協力者が対応。84世帯の借家人がいたが、47世帯は家主の知人等であり、退室は比較的スムースに行われた。

実現の要因

1. 合意形成を促進する要素を備えていたこと(理事会及び各理事のリーダーシップ等)
2. 事業協力者の精力的な合意形成活動(特に高齢者に対するきめ細やかな対応)
3. 事業協力者の努力(豊富な住戸プランのバリエーション、当初から目標還元率を示しこれを実現したこと等)
2.旭ヶ丘第二団地

計画概要

建替え前

建替え後

 

配置図等

 

名称

旭ヶ丘第二団地

未定

 

敷地面積

11,646平方メートル
(北側隣接地8,500平方メートル)

8,805平方メートル〔第一期用地〕
〔第二期11,341平方メートル
は別事業として分譲〕

 

総戸数/棟数

112戸/6棟

208戸/2棟

 

構造/階数

RC造/地上4階建て

RC造/地上11階建て

 

延べ面積
/容積率

6,971.36平方メートル/約60%
(延べ面積÷敷地面積)

22,185.38平方メートル/196%

 

住戸型/面積

3DK・3LDK/53.99・64.62平方メートル

1DK〜4LDK/34〜102平方メートル

 

立地

大阪府豊中市旭丘 阪急宝塚線岡町駅から徒歩約20分 
第一種中高層住居専用地域(200%/60%)

事業概要

区分所有法の建替え決議(法70条の一括建替え決議、賛成107/区分所有者数112)+等価交換事業、平均還元率約61%
事業協力者:長谷工コーポレーション他3社 コンサルタント:市浦ハウジング゙&プランニング

  • 非賛成者5名のうち、1名が催告に応じ、残る4名に対しては売渡し請求訴訟を実施。
  • 112名の区分所有者のうち、88名が再建マンションを取得

事業経緯

昭和43年 旧日本住宅公団による分譲
平成11年 府公社を事業協力予定者として決定
平成15年10月 全員合意を得られず府公社撤退
平成16年5月 民間4社による共同事業を決定
平成16年6月 一括建替え決議
平成17年1月 売渡し請求訴訟 和解
平成17年5月 工事着工
平成18年7月 再入居

特徴等

  • 旧公団の賃貸住宅(約20ha)・テラスハウスとの賃分並存団地(建築基準法の一団地認定)
  • 旧公団所有の隣接地を含む計画に基づく建替え決議を行い、第一期用地に再建マンションを建設。仮移転不要の事業スキーム。移転後の2期用地は別事業・団地として分譲。
  • 隣接地を取得したうえに敷地の一部を譲渡する場合の事業スキームを想定しにくかったため、円滑化法を活用していない。

実現の要因

1. 合意形成を促進する要素を備えていたこと(従前からの良好なコミュニティ、リーダー・サブリーダーの存在等)
2. 建替実行委員会・事業協力者の誠実な対応、関係者の役割分担と信頼関係の形成
3. 事業協力者の努力による還元条件の維持(検討期間の長期化に対応)
4. 豊中市大規模団地建替助成制度に基づく早期のコンサルタントの導入
5. 仮移転不要の隣接地を活用するスキーム、及びこれに対する公団・国の協力・理解
6. 区分所有法の改正 等
 


マンション再生協会