①法人格を有する建替組合を設立できます。 |
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区分所有法第62条の建替え決議により建替えを行う旨の合意をした者(以下「建替え合意者」という。)は、5人以上が設立発起人となって、定款及び事業計画を定め、マンション建替組合(以下「建替組合」という。)の設立について、都道府県知事の認可を申請することができます。この場合、建替組合設立の認可申請のためには、建替え合意者の4分の3以上の同意(同意した者の区分所有法第38条の議決権の合計が、建替え合意者の同条の議決権の合計の4分の3以上となる場合に限られます。)を得なければなりません。 |
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組合は、建替え合意者の全員(建替組合設立に同意しなかった建替え合意者も含む。)及び建替え前のマンションの区分所有者ではないが外部から新たに建替え事業に参加することを希望する者(参加組合員という。)が組合員となります。 |
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マンション建替え円滑化法により設立される建替組合には、法人格が与えられることになります。これにより、建替え事業の期間中あたかも一個の主体として建替え事業の施行者となり、所定の手続きを行う権能を持つことになりますから、建替組合として工事発注契約や権利変換の実施等が可能となります。 |
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これに対し、建替組合を設立しなければ、建替えを行う主体が多数の個々の区分所有者となるため、建替え参加者は工事請負会社と個別に契約を締結することが一般的となるなど、契約行為は非常に煩雑になります。また、資金や建替事業に関する知識を有し、外部から建替事業に参画する参加組合員の制度も活用することができないばかりではなく、合意形成や事業実施に支障が生じたときの対応に苦慮することが多く、常に全員一致を原則として事業を進めなければなりません。 |
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②権利変換を行うことができます。 |
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従来の建替え事例においては、建替え前の旧マンションに関する区分所有権、敷地利用権、抵当権その他の権利を、建替え後の新マンションへ確実に移行させる仕組みを欠いていました。特に、建替えに伴い旧マンションを解体する場合、建物に関する権利が一旦消滅せざるを得ないことから、金融機関が抵当権の抹消に難色を示すケースもありました。また、住戸を賃貸している不在所有者の場合、賃借人との間で賃貸借契約の解除を合意する必要がありますが、合意解約をめぐってトラブルを生じるケースもありました。 |
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一方、マンション建替え円滑化法に基づき設立された建替組合は、建替え前のマンションの関係権利(区分所有権、敷地利用権、抵当権、借家権等)が建替え後の新マンションにどのように移行するのか、その権利関係を定めた権利変換計画を定め(組合員の議決権及び持分割合の各5分の4以上の議決)、都道府県知事の認可を受けることができます。これにより、建替え前のマンションの関係権利が建替え後の新マンションに法的手段に基づいて確実に移行することになります。マンション建替え円滑化法を適用しない限り、こうした権利変換を行うことはできません。 |
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③特別多数決に基づき事業を進めることができます。 |
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建替え決議が成立しても、その後、住戸の位置決めなど建替え参加者間の意向調整を行いながら、最終的な実施計画を策定する必要がありますが、マンション建替え円滑化法を適用しない場合は、常に全員一致を原則として事業を進めなければなりません。 |
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これに対して、マンション建替え円滑化法を適用した場合は、特別多数決に基づいて事業を進めることができます。例えば、権利変換計画の決定は、建替組合の総会において、組合員の議決権及び持分割合の各5分の4以上の議決で可能であり、権利変換計画に同意をしない組合員に対して、建替組合は区分所有権及び敷地利用権を時価で売り渡すべきこと等を請求することができます。 |
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④様々な支援措置を受けることが可能となります。 |
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マンション建替え円滑化法に基づくマンション建替事業においては、同法第4条第1項の規定の「マンションの建替えの円滑化等に関する基本的な方針」(平成14年12月、国土交通大臣策定)等に定めるところに従い、国及び地方公共団体による様々な支援措置を受けることができます。例えば、賃借人及び転出する高齢者等の区分所有者の居住安定を図るための所定の措置等を受けることが可能となります。 |