TOP > マンションの修繕・改修のポイント
このページの内容は最新の情報ではありません。
 
 
1.修繕・改修の必要性
   マンションの構造体は、鉄筋コンクリート等でできており、頑丈で手入れなど不要と思われがちですが、修繕をせずに放置しておくと、表面のひび割れから雨水が浸透しコンクリートが中性化したり、コンクリートの内部にある鉄筋がさびて膨張しコンクリートの破壊が進行し、建物の構造安全性が著しく低下します。
 また、屋根やバルコニーの防水の損耗による雨漏りや、給排水管の詰まりや錆による赤水など居住者の日常の生活に大きな影響を及ぼします。
 マンションを長持ちさせて、住み心地良くするためには、計画的な修繕や改修が必要です。ただマンションは、戸建て住宅に比べ規模が大きく多数の区分所有者がいるため、合意形成に時間がかかるため早めの取り組みが必要です。
 なお、修繕とはマンションが本来持っている性能や機能に復元、回復することを目的に行う工事であり、改修は当初の性能や機能を超えてグレードアップする目的で行う工事をいいます。
 
2.修繕・改修のポイント
  修繕の種別
 修繕には大きく分けて、一般修繕と大規模修繕があります。
一般修繕はドアなどの器具の故障やタイルの剥がれの補修など小規模で経常的な修繕であり、必要に応じてその都度行われるものです。
大規模修繕は、外壁の塗り替えや屋上防水の修繕などの大規模な工事を伴う修繕です。以下では主に大規模修繕の計画から実施までのポイントを解説します。
 
長期修繕計画に基づいた修繕の検討
 マンションは屋根や外壁、給排水設備など様々な部位により構成されており、それぞれの部位ごとに修繕すべきサイクルが異なっています。このため最低20〜30年にわたる長期修繕計画が作成されていることが必要で、それを目安に修繕計画を検討し、手遅れとならないようにしなければなりません。長期修繕計画がないマンションは早速、専門家と相談し作成する必要があります。また、修繕工事をした後に、再度長期修繕計画を見直すことも必要です。
 
竣工図書はあるか
 修繕に当たっては、マンションが竣工したときに作成されている竣工図書(設計図と仕様書及び引継関係書類)がなければ、マンションの各部位がどのような材料でどのように施行されているかが分からず、適切な修繕が出来ません。また、それを後から調べるのには相当な時間とコストがかかります。竣工図書が管理組合に保管されていないマンションは、まず分譲会社に当たり、ない場合は建設会社、設計事務所にも尋ねましょう。
 
修繕のための検討組織の設置
 修繕を実施するためには、2〜3年前から検討することが必要で、管理組合の中に継続的に検討する組織(修繕検討委員会などといいます)を設置することが好ましいです。居住者の中に建物に関する専門知識を持っている人がいれば、是非入ってもらいましょう。
 
専門家の活用
 修繕はその検討段階から専門的、技術的な知識が必要となるため、管理組合のみで行うのは困難です。
 専門家としては、管理会社や設計事務所、マンション管理士などが考えられますが、実際に委託をするときには、その専門家の経験年数、修繕に携わった実績・事例などを確認して適切な専門家を見つけることが重要です。
 
マンションの状態の調査・診断と修繕基本計画の作成
 修繕を行うためには、まず、マンションの状況を調査・診断し、修繕が必要な箇所やその内容を見極める必要があります。管理組合が主体となり、専門家の協力を得て、その調査にあたります。
 調査は3つの段階に分けて行います。
 予備調査では、修繕検討委員会などが共用部を主に目視により確認をします。また修繕記録、管理記録などのマンションの整備記録を確認し、マンションの状態の概況を把握します。
 1次調査では、居住者にマンションの不具合(雨漏り、壁や天井などのひび割れなど)についてアンケート調査を行います。これによりマンション全体の不具合の状況を把握することができます。
 2次調査では、1次調査までの結果を基に、専門家がマンションの調査・診断を行います。コンクリートや設備配管の劣化状況などを実地調査し、マンションの整備記録の精査とあわせ、マンションの状態を診断します。
 診断結果を基に修繕が必要な範囲や、修繕の方法・仕様を検討し、修繕基本計画を作成します。この際、必要な費用を概算し、修繕積立金では足りない場合は別途資金調達の方法を検討するなど、しっかりとした資金計画を立てることが非常に重要です。
 
マンションのグレードアップ(改修)の検討
 修繕の仕様や方法を検討する際には、これまでのマンションの機能を回復する修繕を目的として行うのか、機能や性能を付加してグレードアップする改修も含めて行うのか、管理組合で意思決定をする必要があります。改修では、例えばエレベーターがないマンションにエレベーターを設置することなどが考えられますが、単純な修繕より費用がかさむため、その費用負担と改修の必要性を十分に比較した上で判断をする必要があります。
 
修繕・改修工事の実施設計と費用の把握
 修繕基本計画に基づき修繕・改修工事の実施設計(修繕設計図や工事仕様書などの作成)を行います。またこれらの資料をもとに工事費を積算し必要な費用の総額を把握します。これらの作業は専門家に委託して行うことになります。
 
修繕・改修に必要な資金の調達方法
 修繕・改修に必要な費用の全額を修繕積立金でまかなえないときは、足りない費用を管理組合が別途調達しなければなりません。調達には、不足額を区分所有者から一時金として徴収する方法と住宅金融公庫の「マンション共用部分のリフォームローン」を利用する方法などがあります。いずれにしても管理組合は修繕・改修のために新たに負担することとなる費用を区分所有者に伝え、その負担について十分に理解を得る必要があります。
 
組合の意思決定
 修繕設計図や工事仕様書、資金計画をとりまとめた工事計画書を作成し、管理組合の総会に図り、修繕・改修の実施について決議します。共用部分の著しい変更を伴わない限り、総会での過半数の賛成で決議されます。
 
工事業者の選定
 工事業者の選定の方法としては、数社の施工会社に設計図や仕様書を渡して見積もりを依頼し、その金額や工事内容を比較して選定する「見積もり合わせ」方式が多く使われているようです。この方式は入札方式に比べ、金額の妥当性や工事内容の適切さを考慮して選定できるというメリットがあります。
 この時に重要となるのは、事前にしっかりとした設計図や仕様書を準備し、また、見積もりの項目や書式を指定しておくことです。見積もりの前提条件が施工会社に伝わらなければ比較に値する見積もりが得られないこととなります。
 また同時に工事が適正に行われているかチェックをする工事監理者についても選定を行う必要があります。
 
工事の契約と実施
 工事の契約には「民間連合協定工事請負契約約款」などの標準的な契約書を修正して用いるのが一般的です。この契約書は工事の契約にあたって必要な事項を一通り網羅できるため安心です。
 工事の実施には工事の進行スケジュールや方法について居住者に十分に周知を図り、工事への協力を得る必要があります。また、工事監理者を通じて工事の進捗状況を把握し、工事が完了したときには、工事監理者及び管理組合が工事完了検査を行い、工事が適正に施行されているか確認します。
 

マンション再生協会